『進撃の巨人(諫山創)』16巻感想「食べる?食べない?さあ、どっち!?」
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いやぁ…話があんまり進んでないな!というのが正直な気持ちです。それでもじーわじわと、世界の謎がちょっとずつ明かされつつあるのですけどもね。
『進撃の巨人』今までの話
中央憲兵により汚名を着せられた調査兵団だったが、
全兵団の協力を得て王政打倒に成功する。
残すは真の王家としてヒストリアを女王に即位させるのみ。
リヴァイらは、さらわれたヒストリアとエレンの居場所をつかむが…。
(『進撃の巨人』16巻カバー裏より)
巨人との戦闘の話はひとまず休憩。
15巻で王政・中央憲兵の制圧が完了し、王都も行政区もザックレー総統が仮押さえ中となっています。ベルク新聞社の号外によって現状がトロスト区の民衆たちに伝わり、民間人を殺したという調査兵団の冤罪も晴れました。
「君も見たかっただろ?奴らの吠え面を!偽善者の末路を!」というコマのザックレー総統は、イイ笑顔をしてたよね…!
ザックレー総統のイイ笑顔は16巻でも健在で、「クーデターの準備が生涯の趣味」というだけあるなぁと感じさせてくれます。16巻で一番衝撃的な(そして進撃の巨人の伝説になりそう)なコマで、王政幹部を拷問(?)しているのがザックレー総統ですもの。その拷問というのが、王政側のお偉いさんが全裸・逆さまという恥ずかしすぎる姿になってるというもので…。
これからは一切の食事を”下”から摂取していただくことになっております また着用できる衣服は膝から下のものまでです. そして週に一度は民衆の前でその姿を披露していただきます
と、楽しそうにしてます。
この場合の「下」というのはどちらのことなんだか。というのも、本来の下半身には管や漏斗が繋がれてるんですよね。何とも酷い姿だ。ネットでこのコマを初めて見たとき、コラかと思いました。まさか本当にあったとは驚きですよ。諫山先生もイキイキと描いたのかしら…。
そして主人公のエレンはというとヒストリア・レイス(旧名クリスタ・レンズ)と共に14巻の後半で第一憲兵にさらわれてしまいました。そして、誘拐の裏にいたのはヒストリアの父親ことレイス卿でした。エレンの父親がレイス家から奪ってエレンに植え付けた巨人の王の力を、ヒストリアの中に取り戻したいのですね。そのためには、文字通りエレンを食べて体内に取り込むしかない。
そういうわけで、16巻はだいたいレイス卿が「エレンを食べろったら食べろ」ってヒストリアにけしかけて、ヒストリアが「どうしよっかな…」ってやってる感じでしたね。
合間にレイス家とエレン父の間で起きた争いのことやアッカーマン家の秘密などが語られていって、過去の話のなかにちょいちょい出てきた謎が解かれつつあります。とはいえまだまだ不明な点が多く残されているので、話はまだまだ続きそうです。
エレンとヒストリア
16巻の中心となったのは、エレンとヒストリアの二人。
レイス卿から過去の話を聞いたあとの「オレは償いきれない」「オレはいらなかったんだ」というエレンの言葉には胸が痛くなりました。今までの人生、すべてが無駄だった。この絶望はどれほどのものなのか…。想像するだけで、つらい。
そして「いい子のクリスタ」をやめたヒストリアが、生身の人間っぽく変身していったのは好印象でした。「つまり私は人類の敵!わかる!?最低最悪の超悪い子!!」と叫んでいて、モヤモヤとした気持ちが吹っ切れたように見えました。以前の「クリスタ」ならこんなことは言わなかっただろうし。