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「ユニクロ潜入一年」の内容と感想。ジャーナリスト横田増生氏の潜入取材方法は、ユニクロでのアルバイト!


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ユニクロ潜入一年』読みました。

ネットでも話題になった週刊文春の「ユニクロ潜入ルポ」をもとに、1年間にわたるユニクロ潜入の全貌を書き下ろした書籍です。

今日のニットとスカートとアウターはユニクロです、ってくらいにヘビーユーザーの私にとって、馴染みのある企業の裏側を知ることができたのは面白かった。

ユニクロ潜入一年

著者の横田増生氏はアマゾン物流センターへの潜入など、現場からの目線で巨大企業の実態に迫ってきたジャーナリスト。前著『ユニクロ帝国の光と影 (文春文庫)』では訴えられ、取材をしようとしても断られる。なのにプレジデント社のインタビューで柳井社長は「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど」「うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」とコメント。

「おっとそれはユニクロへの招待状ですか?」と、念のため合法的に名字を変えアルバイトとして潜入。そうして1年間の取材を行った結果をまとめたものが、『ユニクロ潜入一年』です。

長期アルバイト先に選んだのは、立地も規模も様々な3店舗。イオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、そして新宿の超大型店ビックロです。

ユニクロ潜入一年』からは、実際に働くことで見えてくる、リアルなユニクロでの労働のスタイルが伝わってきます。

読みどころは、柳井社長のありがたいお言葉が読める「部長会議ニュース」やコロコロ変わる方針への著者からのツッコミ。そういえば、社内英語公用化ってありましたねー…。❨なかったことになったようです❩

柳井社長の強すぎるカリスマ性は、うっかりすると宗教のようにも見える。現場の士気よりも、自分のメンツを保つことを優先するような発言に異を唱えられる人もいないようだ。威嚇的な守秘義務もあいまって、ユニクロ内での言論の自由について考えさせられます。

個人的に嫌だと思ったのが、コロコロ変わる勤務シフト。

人件費を削るだけ削ってシフトを組んで、人手が足りなくなると直前にLINE で出勤要請を送るという場面があった。その一方で閑散期には、「このままだと会社が倒産してしまうというぐらい危機的状況なので、出勤を減らしてください」と言う。財務諸表を見ると倒産なんてとてもしそうにないというのに、「倒産」という強い言葉を使ってアルバイトや契約社員を従わせる。

かつて社長交替の時にも飛び出した「会社が潰れる」「倒産してしまう」というセリフは、柳井社長がユニクロを操るための魔法の言葉ではないかと著者は分析しています。

まさしくトップダウン経営で、柳井社長にNo を言える人物は社内にいないのが、ユニクロにとって最大のリスクではないのでしょうか。

とはいえ、この本を読んでユニクロを買い控えるようなことはなさそう。自分を含め身近な人が働いているわけでもないので、対岸の火事感覚は抜けなかった。

ただ、ユニクロの店舗でスタッフを見るたび「この人も苦労してるんだろうか…」と思ってしまいそうではある。

一方からの言葉を鵜呑みにするのもなんなので、柳井社長の本も読んでみる…?