田亀源五郎『弟の夫』を読んで、大切なものとは何か考える
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田亀源五郎先生初の一般誌連載作品『弟の夫』を買いました。
いやぁ、弟の夫であるマイクがね、たまんねぇ…!何だこの萌えキャラ。殺す気かっ!というくらいキュンキュンきます。
ニコニコとした表情をしていることが多いということもあるんですけども、ほがらかな雰囲気を持った人物なのです。それなのに、ときおり見せる寂しげな顔…。ドキドキします。
見た目がクマ系というのも関係するのでしょうか。包容力ありそうよね…とか、私もモジャ毛を愛でたいとかついつい思ってしまいます。
主人公弥一の娘である夏菜ちゃんが「マイク大好き!」状態になるのも分かる。
『弟の夫』あらすじ
弟の結婚相手はカナダ人、そして男だった――
弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。
マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手だった。
「パパに双子の弟がいたの?」
「男同士で結婚って出来るの?」
幼い夏菜は突如現れたカナダ人の"おじさん"に大興奮。
弥一と"弟の夫"マイクの物語が始まる――
(1巻カバーより)
ゲイに対する素朴な疑問とその答え
夏菜ちゃんの素直な質問がすごくいい。「ゲイ」という存在に戸惑っていた弥一が、夏菜ちゃんのストレートすぎる質問をきっかけに「ゲイだからって、特別なことはなにもないんだ」と認識を改めていきます。
例えば、マイクが作ってくれた料理を囲んでのこの会話。
どっちが旦那さんで、どっちが奥さんだったの?
夏菜ちゃんぶっこんできたな!(弥一の吹き出しっぷりもすごい)
それに対するマイクの答えは「どちらも旦那さん」だと。
奥さん女の人でしょ
ダンナサン男の人でしょ
私とリョージどっちも男の人でしょ
だから私のハズバンドはリョージ
リョージのハズバンドが私
カップルというのは男女一組という固定観念があるから、「どちらかが女役なんだろう」という考えが出てきてしまう。
女性同士ならどちらも奥さんですよね。
二人ともウエディングドレスで結婚式を挙げたカップルもいます。やっぱり最初は「どちらがタキシードを着るのか?」とたずねられたようですが…。
(レズビアン的結婚生活)
そして「どっちが女役なの問題」は、よしながふみの『きのう何食べた?』でも触れてました。(きのう何食べた?(1) (モーニング KC))
このあたりの誤解はよくあることなんでしょうね。
考えてみれば、どちらかが異性役と決め付けるのは変な話です。そもそも男は男だし、女は女だもの。
主人公、弥一の気持ちの変化
表紙でマイクと夏菜と共に並んでいる弥一の表情は、まさに「困惑」という文字を顔面に張り付けたかのよう。
それと対照的なのが、第五話「シルエット」で三人並んで撮った写真。
弥一からは警戒するような表情が消え、「まぁ、これはこれでいいんじゃないか」と吹っ切れた様に見えます。
みんな好きな人と一緒にいれたらいいよね!
同性婚について「あっちがよくて、こっちがダメというのは変!」と夏菜ちゃんが言うように、あちら側でもこちら側でも好きな人同士でいられたら良いですよね。もちろん、煩わしい諸問題に振りまわされることなく!
こんな方にどうぞ
ゲイと、それを取り巻く素朴な疑問が気になる方へ。
物語のなかで丁寧に触れていくので、変に気張らずに理解を深める助けになるのではないかと思います。
田亀先生といえばハードエロスな作風で知られてますが、そういうのはありません。一般誌だし。田亀作品を読んでみたかったけど、エグいの苦手…という方も安心です。
ただし。
がっちりした感じの男性がタイプな方なら「ほぅ…」となるサービスシーンはあるよ!*1
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*1:私はウフフってなりました。いいよね…。