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クリムゾンの迷宮(貴志祐介)は何度読んでもハラハラする小説だった


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「クリムゾンの迷宮」はベストセラー作家貴志祐介氏の作品。もともと1999年4月に角川ホラー文庫から発売されたものです。

既に10回以上は読んでいるのですが、いまは手元に無いこともあって、先日のKindleの角川文庫7割引祭りで購入してしまいました。

彼の小説では映画化された「黒い家」「ISOLA」「青の炎」が有名ですが、個人的にはこの「クリムゾンの迷宮」が一番好きです。 

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

 

この小説との出会いは、知人がから譲り受けたのだったと思う。(同じ作者の「黒い家」「ISOLA」「天使の囀り」もセットで貰ったような…)

何の気なしに読み始めたのだけど、一気に引き込まれてしまいました。 

深紅色の奇岩が連なる「火星の迷宮(という設定)」で、男女9名による命をかけたゼロサムゲームが行われる。 

物語の前半に出てくる食料調達方法とその調理の様子は、山賊ダイアリーをさらにサバイバル化した感じで楽しめます。 

山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)

 

 …が。 

物語も半ばを過ぎると、ゲーム上の罠によって一部のプレイヤーが食人鬼に変化していきます。

その様子が生々しく、主人公とそのパートナーがいつ餌食となってしまうかハラハラしっぱなし。一緒に逃げているような緊張感が続いたままラストまで一気に読んでしまいます。 

 超えてはいけない一線を越えてしまった人間って、本当に怖いなあ。もっと恐ろしいのは、そういう仕組みを用意したゲームの主催側なのですが。どうして食人鬼を用意したのか?その本当の目的を知ったときには背筋に寒いものを感じました。 

 ラストは賛否両論あるようですが、個人的にはアリ。心地よい余韻が残ります。

  

作中にキーアイテムとして「ゲームブック」が出てくるのだけど、子供のころに遊んだ記憶がよみがえって嬉しくなってしまいました。 

ゲームブックというのは、読者の選択によってストーリーと結末が変わるように作られている本のこと。作品によってはサイコロの出目でストーリーを分岐させることもあります。ゲームブックの読者に対して語りかけるような文体は、世界樹の迷宮に取り入れられていますね。

 ゲームブックってもう廃れてしまったのかと思いきや、今でも新作が作られているのに驚きました。

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