私は何もしない静かなクズだ「ちーちゃんはちょっと足りない(阿部共実)」を読みました
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「ちーちゃんはちょっと足りない(阿部共実)」を読みました。これで終わりなの?足りない!感がすごい。心がざわつくどころじゃないよ。おもいっきりえぐってくる。
阿部共実作品は「空が灰色だから」1巻発売時からずっと単行本で追いかけてました。もちろん「大好きが虫はタダシくんの」も読んだ。だから、この作者のやり口は分かってた。分かってたんだけど、やられた。「中2女子のほのぼのギャグコメディ」「よつばとみたいな漫画」と言ったやつ出て来い!いやぁ…油断してたら、後ろからバッサリと斬られましたね。あんな風に転がっていくなんて、心が痛すぎてへこんでるときには読めません。
と、いうわけで内容は作者が得意ないわゆる鬱展開。ちょっとした違和感がだんだんと自分を飲み込んでいく先にあるものを見たい人にはお勧め。
主人公は郊外の団地に住む中学2年生の「ちーちゃん」と「ナツ」。いつも「何かが足りない」と思いながら過ごしている二人の平凡な日常は、ある事件をきっかけに揺らぎだします。
中2といえば、学校と友人関係が世界の全て!な年代。その中で一番卑怯で、卑屈で、クズなのは自分ですよ、と突きつけられたときの恐怖感は世界が崩壊するに等しい。自分の居場所はどこにもないんだ。じゃあ自殺でもしちゃおっかな…でも死ねない。できない。クズだから。ただ言ってるだけ。開けてはいけない扉がうぅ…ひ、開く…!
すっかり暗黒面に落ちてしまった彼女だけど、戻れるチャンスはあったんだよね。ただ、そこで周囲は彼女を甘やかさなかったし、彼女もそれを放棄した。再読してみると「ここから歯車が狂ったのかな」という瞬間があって心が痛む。
ちーちゃんはタイトルどおり「たりない」感じで、九九や割り算が怪しいレベル。姉にいたずらを仕掛けられたり、同級生の旭にからかわれたりしているものの、作中では「そういうもの」と扱われているのみ。天真爛漫なちーちゃんと穏やかな性格のナツ、しっかり者の旭。最初はこの3人でほのぼの日常ギャグやるのかと思ったんだけどね。
これはだまされるだろ。
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
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同時発売のこっちは心穏やかに読めるよ。安心よ。
ブラックギャラクシー6 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)
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