自衛隊メンタル教官に教わる「怒り方」7つのステップ/『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術』感想
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怒りというのは激しい感情だ。だからこそ、怒るほうも怒られるほうもエネルギーを消耗して疲れてしまう。なるべくならば怒りとは無縁でいたいところだけど、なかなかそうもいかなくてねぇ…。
自衛隊のメンタル教官である下園壮太さんの著書『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術』では、「怒りをコントロールする方法」が紹介されていた。
自衛隊は体力勝負な部分も多いから、なるべく無駄なエネルギーは消費せずにとっておきたい。なるべくならば「無用な怒り」は避けたいところ。怒りを最小限で済ますためには、「ダメージコントロール」の発想が役に立つという。
怒りのコントロール7つのステップ
1.まず、距離をとる(トイレに緊急避難)
イラっときたら、まずは相手と物理的に距離をとる。「ちょっとトイレ」でも「資料を取ってくる」でも何でもいい。
近くにいると余計なことを言ってバトルに発展してしまう可能性もあるから、とにかく離れるのが大切。
2.呼吸、背伸びをする(体の間合いを切る)
とにかく体を動かして、心を落ち着かせる。大きく深呼吸を繰り返して次のステップへ進む。
3.怒りの必要性を分析する
心が落ち着いたところで、怒りについて考えてみる。「そもそもこの件で怒る必要ってあったっけ?」
怒るというのはメリットよりもデメリットのほうが多い。それでも怒る必要があるのだろうか。
4.「七つの視点」による冷静な状況の見直し
- 自分目線
なぜ自分は怒ったのか、何が気に食わないのか、何を傷つけられたのか。- 相手目線
相手はなぜそんなことを言ったのか、したのか。- 第三者目線
周囲の人にはどう見えたか。- 時間目線
この問題は、過去、現在、未来とどう関わっているか。- 宇宙目線
宇宙人から見たら、神様から見たら、どう見えるか。- 感謝目線
今回の出来事に感謝できるところはないか。- ユーモア目線
ユーモアで表現できるところはないか。
宇宙目線って何だよそれ!と突っ込みたいところだけど、まぁそれはさておき。いろんな方向から「怒り」について冷静に見つめてみる。すると怒りをストレートにぶつけるよりも、もっといい方法を見つけることができるかもしれない。
5.怒る前に、怒りのイメージトレーニングをする
ここまで考えて「怒らない」という選択もある。だけど、怒らなくてはいけない場面だってもちろんあるわけだ。ここで「さて、文句を言いに行くか!」と何も考えず突撃してしまったら、元の木阿弥。
「何に対して、どの位の程度で怒りを表現するか」ということをイメージトレーニングしてみる。
6.理想的な怒り方をしているモデルを探す
身近な人でも、架空の人物でもよいので、モデルとなる人物を見つけてみる。
7.記憶の棚にしまう
イメージトレーニングの続きとして、自分の怒りに対する相手の反応もセットで想像してみる。いったい相手はどんな表情で、どんな対応をしただろうか。
「この件に関してうまく解決できた」という記憶もあわせて心の中の棚にしまうようにすると、嫌なイメージが後々まで残らないで済む。
このような思考訓練は、スポーツのトレーニングと同じで反復練習がキモ。日々の生活の中でイラっとすることがあれば、この7つのステップを思い出してやってみるのがよい。
自衛隊というと「体育会系」とか「とにかく過酷」というイメージがある。だからこそ「いかに早く疲れを取るか」ということが大切だという。
『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術』で参考になったのは、怒りのコントロール方法だけではない。いかに疲れをためずに早い段階で回復させるかということを「ムリ・ムダ・ムラ」の3つの切り口から解説している。例えば仕事でムリしすぎないように、業務量や時間など知覚できるものでストップをかける、とか。
本(本書も含めて)などに書かれている情報は、真実ではなく、単なるその人(著者)のコツである、と割り切る必要がある。合うところは活用し、合わないところは、受け入れないという冷静さが必要だ。
と、書いてあるのもなんだか好感が持てますね。
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心の持ち方を考える。それについては、元FBIの方の考え方も参考になりました。