1989年の渋谷。憧れのバンドの解散を阻止しろ!『ドルフィンソングを救え!』感想
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悶え苦しんで気恥ずか死してしまう小説かと思いきや、案外すんなりと1時間程で読み切れた。この頃の文化については、後から「知識」として身につけたことが多いからなのかしら。
と、いうわけで『ドルフィン・ソングを救え!』を読みました。
『ドルフィン・ソングを救え!』のあらすじ
45歳(職なし・未婚)の女性が絶望から自殺を図ろうとしたところ、なぜか1989年にタイムスリップ。彼女は青春時代に好きだったバンド「ドルフィン・ソング」の解散を阻止すべく動く!
2人はフリッパーズ・ギター
「ドルフィン・ソング」というバンドは、「フリッパーズ・ギター」がモデルなんですよね。「ドルフィン・ソング」の島本田恋と三沢夢二のふたりは、小山田圭吾と小沢健二そのまんま。
『ドルフィン・ソングを救え!』の舞台となる1980年代後半~1990年代初頭は、まだまだ私も小学生。この頃の文化については後追いで知ることが多かった。オザケンが王子様扱いされてたり、コーネリアスがツノをはやしてたのは知ってる(テレビで見たから)。
『ドルフィン・ソングを救え!』について語ろうとすると、こうやってあの頃の思い出話をしたくなる。章タイトルはまんま曲名だし、小沢健二が書くフレーズが文中にこれでもか!と出てくる。フリッパーズ・ギターの2人が好きなら「ニヤリ」としてしまうのでしょうか。
ページをめくる度、懐かしさが蘇る
前半部分は、フィクションと入り混じって実在の人物やできごとが出てくるので、とても懐かしい気持ちが蘇ってきた。「これあったあった」「知ってる知ってる」と、思わず繰り返してしまう。
「フィンドルちゃん」ヲタが極まって、周辺の音楽に異様に詳しくなった主人公。その知識を活かしてロッキング・オン編集部に潜り込む。その辺りは興味深くストーリーを追えた。
が、問題は後半ですよ!
困惑の物語後半
物語は後半になって、急展開を見せる。
ドルフィンソングの2人が、主人公に求婚するのだ(!?)。しかも主人公を巡って決闘する。文字通り「決闘」ですからね。戸惑いを隠せない。
おまけに突然、生々しいエロシーンが出てくるので、電車で読む方はご注意を。
これでは「主人公イコール読者」のドリーム小説*1ではないか。「主人公に自分を重ねて読んでね」というのならば、余計なお世話である。
何なんだこれは…と混乱しながら本を置いた。
当時の文化を追体験するという意味では充分楽しめた。それだけに、後半が残念過ぎるんだよなぁ…。
BGMはもちろん「Flipper's Guitar」で。
プライムミュージックにフリッパーズ・ギターの曲がいくつか登録されていたので、それらを聴きながら書きました。Amazonプライム会員なら聞き放題なので、読書のお供にどうぞ。
プライムミュージックでの「Flipper's Guitar」検索結果
以上、「1989年の渋谷。憧れのバンドの解散を阻止しろ!『ドルフィンソングを救え!』感想」でした。
*1:登場人物と疑似恋愛が楽しめる小説ジャンル。二次創作から始まった。