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ほんわかファンタジー少女漫画「町でうわさの天狗の子(岩本ナオ)」感想


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またしても「町でうわさの天狗の子」全12巻をイッキ読みしてしまいました…!

私にとって、何度でも読み返したくなる少女マンガの名作です。作者は岩本ナオ先生。小学館月刊フラワーズで、2013年12月号まで連載されていました。

どのコマの中からもほんわか、ゆったりとした雰囲気が伝わってくる作品です。刺激的な展開でジェットコースターのようにギュンギュン場面が変わっていくような漫画とは対照的な作品です。ジャンルを簡単に言うと、現代を舞台にしたファンタジー漫画ということになるのでしょうか。 

町でうわさの天狗の子の簡単なあらすじ

緑峰山の天狗の娘「秋姫」は、下界の町で母と共に暮らしている。彼女は力が人よりちょっと強いだけで、あとは普通の中学3年生。お父さんが住むお山では、幼なじみの瞬ちゃんが天狗になるため修行に励んでいる。瞬ちゃんからは修行するよう度々言われているが、ずっと断り続けていた。だって、天狗って腕とか毛がモジャモジャになるし!

受験を控え、憧れの同級生タケルくんと同じ高校に行きたいと願う彼女だが…。

町でうわさの天狗の子の好きなところ

まず、この作品全体を包むゆるーい空気感が好きです。全体的には王道の恋愛ストーリーなのだけど、天狗の娘というのが良いアクセントになっています。

主人公の秋姫はもちろん、脇を固める友人やお山の眷属たちなど誰も彼もが愛らしい。

まず、姫ちゃんの幼なじみにして乳兄弟の瞬ちゃん。「僧上坊(秋姫の天狗のお父さん)様の言いつけだから」と言い訳しつつも、姫ちゃんのピンチに駆けつけてくれます。それだけだと少女マンガでありがちなヒーローなんだけど、新鮮に感じるのは彼が天狗の修行をしている身だからでしょうか。いつでも姫ちゃんのことを案じていて、姫ちゃんほんっと愛されているな!ってうらやましくなるほどなんだけど、姫ちゃん気がついてないよね…。兄弟みたいなものだしなあ。

次に姫ちゃんの憧れの人タケルくん。イケメンなのに、ゆるーーーーーいキャラクターです。まず、私服が門松の絵柄のTシャツ(正月はだいぶ過ぎてる)。ホームセンター好きというのも、男子あるあるって感じだよね。瞬ちゃんたちと貝塚へ矢じりを掘りに行ったり、仏像マニアという渋い趣味を持っているのも、少女マンガのイケメン担当キャラとしてはレアな感じがする。

個人的には、姫ちゃんに「なでて」っておねだりする五郎坊(ウサギ)がかわいいなぁ!人型になると、イケメンメガネになるのも良い。瞬ちゃんに亀でも電柱でも西城(同級生)でもイケる性倒錯者っていわれてるけど、それでもイイ…。

岩本先生の素朴な絵柄だと、妙な人物造形も気にならなくなってしまうのだから不思議です。もじゃ頭とかネギみたいなひとつ結びの女子高生なんていないよ!と思うのだけど、気にせずスっと読めちゃうんだよね。もちろん、彼女たちの恋愛エピソードも作品中で描かれていきます。個人的にはキツネの三郎坊と赤沢ちゃんのエピソードが切なくて良い。

それから、たびたび出てくる下ネタがなんともおかしい。何だよドピンク横丁って!そのまんまじゃないか!あと、ホワイトデーをシモネタの一種だと勘違いしてる瞬ちゃんとか。突然出てくるこういうコネタには思わず笑ってしまいます。

少女マンガなんだけど甘ったるくなく、どこかサラっとしている。少女マンガ独特の甘くてキラキラとした雰囲気が苦手な方も無理なく読めると思います。たまにはガツンと甘いものを食べたいときもあるかもしれないけれど、おせんべいは安定してウマイよね…みたいな漫画です。異形つながりで、夏目友人帳が好きな人なんかにもいいのではないでしょうか。

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