読書のきっかけ作りとしての文庫目録
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文庫目録を読むのが楽しい。
目録というのは要するにそのレーベルで現在入手可能な本のリストのこと。本のタイトルと著者名、価格、簡単な解説がひたすら並んでいるだけのものです。書店の棚にぶら下がっていたり、ちょこんと置いてあったりもします。文庫と同じコンパクトな大きさで持ち運びも楽々、暇つぶしのいいアイテムになるんですよね。
「目録を書店にもらいに行くのも手間だし、ネットに転がってないかなー」とものぐさなことを考えていたら、しっかりありました。まず見つけたのが岩波書店の目録。
⇒http://www.iwanami.co.jp/hensyu/mokuroku/bunko2014.pdf
PDFファイルで369ページのボリュームですよ!こりゃ下手な書籍より読み応えがある。
岩波文庫では日本や世界の古典文学や学術書を幅広く取り扱っていて、歴史の教科書で名前だけは知っているような本もそろっています。「学校で名前は習った」という本って、案外どんな内容なのか知らなかったりするんですよね…。たとえば「古事記」「日本書紀」。どちらも有名な作品です。でも名前と歴史書ってことは知っているけど、具体的にどういうことが書いてあるのか?正直覚えていません…!
岩波文庫の目録では、以下のように5行で解説がされています。
古事記
八世紀初めに成立した現存するわが国最古の歴史書・文学書。数多い口伝えを天武天皇が1田阿礼に命じて覚えさせ、元明天皇が太安麻侶に書きとめさせたもの。天地開闢に始まり、伊邪那岐命・伊邪那美命の国生み神話、須佐之男命の大蛇退治等、神代より推古天皇に至る皇室の系図を中心に、わが国古代の神話・伝説・歌謡を広く収録。
日本書紀
「古に天地未だ剖れず、陰陽分れざりしとき......。」養老四(七二〇)年に舎人親王らのÖで、完成したわが国最古の正史『日本書紀』は、朝廷に伝わった神話・伝説・記録などを記述した編年体の史書で、「巻第一神代上」から「巻第三十持統天皇」まで全三十巻。定評のある日本古典文学大系版『日本書紀』を文庫化。
なるほど、そうだったか。なんとなく頭がすっきりした。万が一、古事記や日本書紀が世間話に出てきたとしても安心だ(?)
5行で書かれた各書籍の解説を見ていくと、自分の面白そうセンサーに引っかかるような文章に出会うことがあります。そういった本はどんどんAmazonのウィッシュリストに入れていって、後ほど購入したり図書館で借りたりする本の候補としていきます。これがまた楽しいんだ。次々にウィッシュリストに放り込んでいくのって、なんであんなに快感なんでしょう…。
個人的に気になった本のうちの一冊がこれ。アテナイオス(柳沼重剛編訳)の『食卓の賢人たち』。
舞台は二世紀頃のローマ。次々と出される料理を楽しみながら、その材料や料理法や食器や食べ方等々について、宴に招かれた客たちが競って蘊蓄を披露する。知ったところでたいして役に立つとも思えぬ話も少なからずあるが、しかし無類に面白い。この奇書の著者については、その名アテナイオス以外、ほとんど何も分っていない。
ローマ帝国を舞台にした食のうんちくエッセイですって!二世紀頃ってことは、テルマエロマエにも出てきたハドリアヌス帝やアントニヌス、マルクスの時代…?そう考えるとさらに興味がひかれるなぁ。
岩波文庫以外の目録についても探していたら、一部の文庫目録がKindleで読めることを発見しました。*1目録なのでもちろん無料。いくつか並べてみますね。
次にどの本を読むか迷ったときに目録をぱらぱらとめくってみると、新たな出会いがあるかもしれません。
そういえば昔の漫画単行本の巻末には同じレーベルの単行本リストがついていたけど、今はそういうのはないのかな。子供のころあれを読むのがすきだったんだ。「この先生はこういう本も出してたのかー!」って。
*1:「目録」で検索するときに「-とある」をつけないと、インデックスさんシリーズがざくざく出ますね