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『ゼロからトースターを作ってみた結果』は過程を楽しむドキュメント


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本屋をブラブラと歩いていて、平台にあったこの本を手に取ってみた 。タイトルは『ゼロからトースターを作ってみた結果』。

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫) 

タイトルには「ゼロからトースターを作った」とある。じゃあ、このデロデロした物体がトースターってこと!?

一体どういうことかと帯を見てみると、こんな文書が目に飛び込んできた。

(ほぼ)すべて原料から作り上げた汗と笑いの9ヵ月!

一体どういうことなの?頭が混乱してしまいますね。

目次

著者はどんな人?

著者は、英ロイヤル・カレッジ・オブアートの大学院生だったトーマス・トウェイツ。

彼が大学院の卒業研究として、ガチでトースターの材料を原料から集めて、自力でつくってみたということだそう。例えば鉱山から鉄鉱石を取ってきて、トースターに使う鉄を自力で抽出する、とか。

「えっ、そんなことできるの?」って、あまりのバカバカしさにうっかりこの本を買って帰ってしまったよ。

一見バカバカしく思えるようなことを真面目にやる話ってだいすき。

そもそも彼はなぜトースターを作ることにしたのか

僕がトースターを、それも電気トースターを作りたい理由は、電気トースターが近代の消費文化の象徴であるように思えるからだ。

トースターはどこにでもある、ありふれたもの。でもどこにでもあるからって簡単に作れるというわけでもないのを我々はこれから思い知るのであった…。

原材料は全部自分で取ってくる

トースターを作るための大原則として、「トースターの部品は一から自分で作る」ということがある。

つまり、外側のプラスチック、断熱材のマイカ、銅線、発熱体となるニッケルを全部「発掘」して、材料に加工するという。専門店で部品を買ってきて組み立てれば、トースターはできそうな気が、する。(現実にできるかどうかはともかく)

でも、原材料からって聞くと「できるわけないだろ!」って思っちゃうよね。それは、原材料から目的の姿になるまでが想像がつかないからなんだけど。

まずトーマスが手がけたのが手作りの鉄。鉄を「手づくりする」ってなんだか変な感じがしますね。しかも、電子レンジを使って使用に耐える鉄を作ったと言ったら「なんだそりゃ!?」ってなりません?私はなった。

原材料は割となんとかなる

読み勧めていって驚いたのが、ほとんどの原材料をイギリス国内で手に入れることができたということ。とは言っても、ちょっと手順をショートカットしてるんだけどね。

例えば、プラスチック。原材料は石油だけど、さすがに個人で掘りに行くのは無茶だ。

遠い未来、地中のプラスチックのかたまりも、鉄鉱石などの岩と同列のものとしてとらえられることになるはずで

そういうわけで、街のゴミ捨て場から手に入れたプラスチックを溶かして再利用することにしたのでした。この下り、「屁理屈じゃね?」と思いつつも何だか愉快なので良しとします。風の谷のナウシカの世界では、エンジンを発掘して修理しながら使っているという設定も思い出したりして。

その後のニッケルの手に入れ方にはたまげました。こっちもいいのかよ…?

完成までの道のりが楽しい

トースター完成に向けて試行錯誤している過程を読むのが楽しい。それって旅に出るための準備をしている時が一番楽しいのと同じなのかしら…。

TEDで発表してた

Thomas Thwaites: トーマス・トウェイツ:トースターを1から作る方法 | TED Talk

[asin:4102200029:detail]

以上、「『ゼロからトースターを作ってみた結果』は過程を楽しむドキュメント」でした。