ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』に、学生時代の親や教師からのプレッシャーを思い出した
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検定試験の勉強中なので、勉強してる人が出てくる本を読もう。そんな風に勉強の気分転換用に選んだのが、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』。
よく聞くタイトルだけど読んだことがなかったし、Amazon Prime会員なら無料で読めるPrime Reading 対象だったというのも、選んだ理由のひとつでもある。
『車輪の下』を読んだことある人なら、「よりによって、試験前に、何でこれを読んだ?」と思うでしょうか。読み終わったいま、わたしもそう思う。
平凡でのどかな田舎町に、並外れた知性を持って生まれた主人公のハンス。両親が金持ちでない限り、この田舎町で才能のある少年に用意されているのは、州試験に合格して神学校に入る道のみ。
周囲の大人たちから期待という名のプレッシャーと共に、少年には断り切れない形で大量の勉学を押し付けられてしまう。
周囲の教師たちはハンスのことを操縦しようとするばかり。彼の心が壊れつつあったことに気がついたものはいなかったのだろうか…。
青春を勉学に捧げる羽目になったハンスに、かつての自分を重ねてしまう人も少なくないかも。親や学校の期待にうんざりしながら、自分の意思とは関係なく勉強をしなくてはいけなかったあの頃を。
高校で見事に落ちこぼれたことも今では笑って話せても、当時は本当にどうしたらいいのか分からなくて鬱々してたなー!
陰鬱としているこの小説で救いになるのは、豊かで細やかな自然の表現。個人的に好きな第二章の朝の散歩の描写は、瑞々しい森の風景が目に浮かぶよう。
もしも、自分の人生を自分でコントロールする余地があとわずかでもあったなら。ハンスの最期はもう少し違った形になったのかな。
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漫画で読破シリーズに加えられているけれど、ヘッセの美しい文を堪能するなら小説版かな!