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佐倉色『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を読みました


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ここ数日の『けものフレンズ』騒動を眺めていて、「そういえば、KADOKAWAって別件で揉めてたよなー」と思いだし、佐倉色『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を読みました。

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

佐倉色先生とKADOKAWA…というか、少年エース編集が揉めているというのは、ちょうどこの本が出た前後位にTwitter経由で知りました。

一言でまとめると、無茶ぶりと物忘れが激しい編集者に新人漫画家が振り回された実録エッセイ漫画。

怒られるとその場しのぎの嘘でごまかす、何度も同じミスを繰り返す、データ紛失や打ち合わせを忘れるなどのトラブル続きの編集者にストレスが蓄積。そして、とうとう色紙事件で爆発…といった内容です。

色紙を単行本購入者全員プレゼント、それは分かる。でも、キャラクター指定ありでフルカラー手描きは無茶だろ…。じわじわと増えていく色紙依頼数は、最終的に1729枚に。生活にも影響が出るほどの数です。

問題の担当編集者であるボーノ氏は、「確かにこういう困った人っているよな…」というキャラクターでもある。悪気があるんだかないんだか分からないのが恐ろしい。
どんどん心をすり減らして壊れていく佐倉先生を見て、「なんだ…佐倉さん大丈夫そうですね」と言ってしまう場面には背筋がぞわっとした。思ったことをそのまま言ってしまうタイプの人なんだろうか。

客観的に見れば「何でこの仕事受けちゃったのかな」「こんなにがまんしなくてもいいのに」と思わずにはいられない。とはいえ当事者の佐倉先生にしてみれば、判断が難しい部分があったのかも。

今まで知らない業界での仕事で、相談もできる同業者もいない。「この業界はこうなんです」と断言されたら「そういうものなのか~」と、言われるがままになってしまう可能性はある。ブラック企業の構図に似てますね。

社会人経験があったからか、最終的には編集側と交渉することができたのは唯一良かった点だと思う。うっかりすると泣き寝入りになりそうですもん。ところで佐倉先生が編集長に訴えた二点は、実現したのでしょうか?

この佐倉先生の一方的な視点で描かれているので、この『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』は「どこまで本当なんだろうか」と思う部分もある。ニュースサイトの「ねとらぼ」に報じられたというエピソードについては、事実と異なるとねとらぼからの見解も出ています。
漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解 - ねとらぼ

野次馬的気分で買ってみたものの、読みごたえのあるマンガでした。それは文字の量の多さのせいもあるかも、だけど。