ほのぼのとした空気の中にあるゲスさを楽しむ社会派風刺漫画「国家の猫ムラヤマ(カレー沢薫)」を読みました
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「国家の猫ムラヤマ(カレー沢薫)」を読みました。
人間が猛威を振るう時代は終わった。絶滅寸前の人間に代わって政治を行うのは、各種の動物たち。でも、何かがおかしい。まず、総理がツシマヤマネコ。お前こそ絶滅危惧種だろ…とツッコミをいれずにいられない。
そんな設定で始まる漫画なので、あとはバカ話に流されるままページをめくるのが正しい楽しみ方でしょう。
「国家の猫ムラヤマ」は社会派政治ギャグということになっています。政治離れや引きこもり、少子化対策などのテーマをおかずに、テンポよくボケとツッコミが繰り返されていきます。1話2ページというのもあって非常にリズミカルに読めるのが良い*1。カレー沢作品に共通した、ギャグを淡々とボディにぶちこんでくる感じが痛快です。
時事ネタをちょこちょこはさんでくるので、いい感じに読めるのは旬のうちかも。こういうのって時間が経っちゃうとやっぱりねぇ…。10年後に読み返せばそれも味となりますが。
「国家の猫ムラヤマ」の中心となるキャラクターは3名。
国民が政治に興味がなさ過ぎて、支持率0%なのになぜか総理になってしまったツシマヤマネコのムラヤマ氏。会見開始3秒で10回も失言したという伝説を持っている。
とはいえ、彼の存在はこの漫画の良心ともいっていいかもしれない。そう、彼がそれなりにまともな分、秘書たちがあまりにも酷い。ある意味潔いといえるほど酷い。
この作品では珍しい、人間の秘書「イトウ一郎」。彼もまた輝いてる名前をお持ちで…。この世界ではレアである人間のメスを見つけると、求愛ダンスを踊る癖があります。秘書とピンサロの呼び込みのバイトを掛け持ちしているが、いいのかそれは…。
こちらが第二秘書あるオブチ氏(オコジョ)。こう見えて彼は奔放な性生活を送っている上、資産差し押さえも受けているツワモノだったりします。過去が気になりますね。
オブチの酷さをヒトコマで表すならこれ。
ちなみに、彼らは派遣です。
アンモラルカスタマイズZがあらゆる女性に対して毒矢を吹き付けるような漫画だとしたら、こちらは霞ヶ関に火をつけて回るような漫画でしょうか。
アンカスを読んだ後だと、カレー沢先生はどれだけセックスネタが好きなんだと思ってしまいますね。
【再告知】18日(先負)モバMANに読み切りが掲載されます(後半有料)いつものノリな部分も多いですが、ちゃんと少女漫画らしいところも、真面目な部分もあります、よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/eKPCltO5mG
— カレー沢 薫 (@rosia29) April 10, 2014
別の漫画の紹介ですが、こういうのもあった。
クレムリンでもそうだけど、各話最初の1コマ目のわけの分からなさが面白い*2。オザワというのは美人の官房長官(人間)の名前です。どうしてこういう状況になったんだ?
さて。動物たちが国を治めるときいてついつい連想してしまうのが「動物農場」。ディストピア小説「1984年」でも有名なジョージ・オーウェルの作品です。 動物農場のストーリーををさらっと紹介すると、偉大なる指導者様であるところの豚が動物たちの楽園を農場内に作ったと思ったらそのうち内ゲバが始まってあばばばば…ってな感じで。どっかの国を思い出しますね。
動物がボスとして君臨するという共通点だけで、動物農場と国家の猫ムラヤマを同時に手に入れて読み進めたのは私です。
間違ってもムラヤマ総理は総括を強要したりしないので、読みながらビクビクしないですむ。これは大変喜ばしい。主なキャラクターが動物だからといって油断していると、カレー沢作品特有のゲスさが押し寄せてくるので元気がわいてきますね。
でもさすがに「自分のウンコを食い続ければ飢えることはない」という発想には、「ナイスアイディア!これで今日から食費が浮くね!!」とは思えませんでした。
国家の猫ムラヤマ(1) (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス)
- 作者: カレー沢薫
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: コミック
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