『モスクワの伯爵』は人生……!32年間ホテルに軟禁されたロシア貴族から学ぶ、毎日を楽しむコツ
あー、今日も何もしないで終わってしまった……。ぼーっとしただけで過ぎた一日を振り返って、じんせい、とは。と考えてしまう。
そんな休日の減点を取り戻したい時には読もう、これを読もう。
『モスクワの伯爵』。
読後のずっしりとして満足感は、600ページ超と物理的に重かっただけではないと思う。
一ページ一ページにユーモアと友情と親子の絆と紳士の矜持とが詰まっていて、本を閉じた瞬間に「『モスクワの伯爵』は人生だ……。」と言うほかなかったですね。
目次
『モスクワの伯爵』とは
『モスクワの伯爵』の舞台は、ロシア革命の時代。 堕落した貴族であるという罪で、革命政府に無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵が主人公だ。
今までは高級ホテルのスイートルームに暮らしていたけれど、これからはその屋根裏部屋で暮らさなければならない。
ホテルから一生出られないと絶望したときもあるけれど、紳士であることを忘れず個性的な従業員や風変わりな訪問者たちと友情を育んでいく。
作中での時間の流れ方がいい。ゆるやかに時は過ぎ始めて徐々に加速していく。そして、時間はゆったりとした流れに戻っていく。
伯爵がホテルで過ごした32年間を振り返ってみたら、こんな風に頭の中で時間は過ぎていくんだろうなと思う。
自らの境遇の主人であること
境遇の主人であることを心がけなければいけない。
モスクワの伯爵の最初の方に出てきたこの言葉にハッとさせられた。
不運は様々な形をとってあらわれる、自分の境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷となる、とも。(p30)
境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷となる。それを念頭に、伯爵は思案した。軟禁という終身刑に処された場合、境遇の主人になるにはどんな方法があるだろう?(p45)
境遇の主人であることを心がけなければいけないのは、何も建物に閉じ込められているときばかりではない。
自分の身に起きていることに対して、どういう態度を取るべきなのか自らで決められているのか。自分がコントロールできる事がらについて、主体的に考えられているのか。
自己啓発じみてしまったけれど、そういったことを今一度考えてみるべきでは?日々ぼんやりすごしているだけだとあっという間に年を取るぞ?みたいなことを問いかけられているような気持になる。
残りの人生、やさぐれて過ごすだけとか本当に勘弁だよね……。
そんなことを書くと説教臭い本なのかな?なんて思うかもしれないけれど、それは大きな誤解だ。
軟禁の身でありながら、軽やかさを忘れない伯爵。まさにこれぞ紳士。
悲観してしかるべき状況でも、楽しみは見つけられるよ!と勇気付けられる本ではないかと思う。
ちなみに、映画『オリエント急行殺人事件』でエルキュール・ポアロを演じたケネス・ブラナー主演でのテレビドラマ化も決まっているそうですよ。 https://www.cinematoday.jp/news/N0100180
『モスクワの伯爵』はここから購入できます
箔押しの装丁も素敵だから!まずは手に取ってみて……!
脇道、一本裏通りが好き
表通りから一本入ったところ。裏道、脇道、裏通りが好き。
メインストリートの喧騒から逃れるように、ヒョイと脇道に逸れる。さっきまでのザワザワだんだん遠くなっていく。
人の少ない通りを宝物探しをするかのように歩くのもいい。きれいな花、面白看板など、心惹かれるものに出会える確率が高い、気がする。
ふらっと現れた猫に出会えた時は、思わぬプレゼントを貰ったかのような喜びがありますね。
「あっ、ネコチャンだ!」とこちらが思ったと同時に、向こうも「あっ、人間だ!」と思うのか、驚き顔で一瞬立ち止まって、そのまま走っていくことが多いけれども。
触れ合うことができれば、その日はラッキー。
ウズベキスタン料理を食べてきた。アロヒディン八丁堀店にて。
都内でウズベキスタン料理が食べられるというお店、アロヒディンに行ってきました!
目次
ウズベキスタン?
ウズベキスタンって名前を聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。
中央アジアの国で、青の都「サマルカンド」が美しい、とか日本人は30日以内の滞在ならビザ免除とか、そういった旅の情報はほんのりと知っているくらい。
あ、あと漫画『乙嫁語り』のカルルルク・アミル夫妻が住むエリアのモデルとなった場所でもありますね!
一方、食べ物関係はというと、あの辺だと……羊?みたいなレベルくらいしか思いつかない。思いつかないなら食べに行きましょう、そうしましょう!
アロヒディン到着
アロヒディンは東京駅近くの八丁堀店と日本橋店と二店舗あって、どっちに行ったらいいんだ?と迷った。メニューに違いがあったりするんだろうか?
とりあえず、東京駅からやや近そうな八丁堀店に向かった。お店は地下にある。
席に座るとノータイムでサラダとスープがでてきた。なるほど、セットが基本だからか。
まずはサラダとスープから
サラダはシャキシャキとしたレタスとにんじんに、シーザーサラダドレッシングがかけられている。
スープはとてもクリーミー。酸味があって、スパイスで少しピリッとする。
この赤さはにんじんではないだろうし、かといってトマトでもなさそう。パプリカかな?
メインは全部食べたい
ランチメニューはどれを頼もうか悩んだのですが、初めての訪問ということで、三種類食べられるトリプルプレートにしました!
ご飯があってパンがある。炭水化物と炭水化物がぶつかっているが、はたして食べきれるだろうか……。
そんなことを思いつつ、上から順に食べていきましょう。
タバカ
ウズベキスタンのチキンのオーブン焼き。 鶏肉がむっちりしてますなー!
オーブンでじっくり焼いているお陰か、旨味がぎぎゅっと濃縮されている気がします。ポテトマッシュと合わせて食べてもウマイ。
バルボニア
牛挽き肉と豆の煮込みのチーズがけ。
焦げ目がついたチーズが香ばしい。 玉ねぎとにんじんが入ってるからヘルシー(欺瞞)。カロリーはうまさの証……!
骨付き羊
口の中でホロホロとほどけていく。ナイフいらず。 ミントとレモンでさわやかなところに、羊肉の旨味がやってきましてね!ずっと噛んでたい……。
いいものを食べた、という満足感がすごい
とにかくお肉の力が強いランチでした。噛み締めるたびに怒涛の旨みが押し寄せてきて、満足感が半端ない。 こうなると、今回食べられなかったチキンの煮込みや羊の挽き肉の煮込みも気になる。これは再訪したい。再訪する。
公式サイト:wine&beer ALOHIDDIN
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千駄ヶ谷住宅跡地。新宿駅から徒歩10分の廃墟
新宿の文化学園服飾博物館に立ち寄った後、甲州街道からふらっと脇道に入ると興味深いものを見つけた。
細い道の両脇に団地が5棟並んでいる。
表通りの喧騒が嘘のように、しんと静まり返っていて建物からは人の気配が全くしない。
団地の出入口には針金がいくつも渡されていて、あちこちに注意書きがぶら下がっていた。
そこに書いてあるのは、国有地であること、立ち入り禁止、監視カメラで撮影していることなど。 ずいぶんと物々しい。
侵入者防止のためなのか、建物はベニヤ板で塞がれている。
かつて住んでたこども達が遊んでいただろう遊具も、錆で赤茶色に染まっていた。
すっかり錆びていて何につかわれていたか分からない表示。使われなくなってからどれだけ経っているのか……。
なんで新宿のど真ん中に、こんな風に時が止まったかのような建物があるんだろう。
GoogleMapによると千駄谷住宅と記載があったので、その名前で検索してみる。
するとここは元々国家公務員の宿舎で、2011年の「国家公務員宿舎の削減計画」により廃止となった、ということが見つかった。
資料によると、廃止を決定した国家公務員宿舎は、5,046 住宅!都内だけも300以上の宿舎が廃止になったみたい。
それにしても新宿の一等地に建ったまま放置されているのはもったいないような気がしますね。
横須賀美術館『縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展』に行ってきた
行ってきました、横須賀美術館『縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展』。
どこで開催を知ったか忘れましたが(たぶんTwitter)、ポスター等で使われているミニチュア作品を見て、「あっこれ私好きなやつ」と直感しました。
会場は横須賀美術館、期間は6月23日(日)まで。
埼玉住みなので「横須賀って遠いよね、電車賃もかかるし」と悩んだのだけど、気になるものは行っておいた方がいいな!と勢いで向かいました。これ、正解だった。
展示について
『縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展』について、公式サイトによると
本展では、現代美術を中心に、精密な縮小模型から、視点を対象から離すことで広範囲の世界をとらえた写真や絵画、異なる縮尺が存在するインスタレーションなどを取り上げます。スケールが変われば、なじみの風景や事物も、大きく印象を変えるでしょう。
とのこと。
全体的に見て、大きなものを小さくする、という展示が多かったかな。 小さいとそれだけで何でもかわいく見えてくる。
普段お馴染みのものを新たな視点で見ると、ユーモラスに見えるというのが分かって面白かった。
展示の写真をいくつか
一部を除いて、展示は撮影可能でした。と、いうわけでいくつか写真を。立体ものが多かったですね。
写真撮影不可だったので、ここにはないけれど、松江泰治さんの一連の写真のシリーズがよかった。
情緒が徹底に排除されていて、淡々と「地表のサンプルを取るように」撮影されている。Google Mapで航空写真を見るのが好きな人は気に入ると思う。