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『腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編』感想。古の同人オタク女子は「あった、あった」しか言えなくなるよ

腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編』読みました。

いやー、90年代に青春時代を過ごした30代腐女子&オタク女子ホイホイな漫画でしたね……!

テレホーダイ、偽エンター、きり番、グラデ便せん、定額小為替、同人封筒などのキーワードに反応してしまう方にはグッとくる書籍だと思います。

腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編 (ZERO-SUMコミックス)

目次

腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編』ってどんな本?

古の同人オタク女子が昔懐かしのネタでひたすら盛り上がるエッセイ漫画です。

インターネットのなかった時代のもどかしさ、そしてインターネット黎明期のはっちゃけっぷり。懐かしくて涙が出てくるよ。

作者のTwitterでほとんど読めてしまうので、正直お金を出してまで買うのは……と思ったのですが、書き下ろし漫画の紹介を見て購入を決めた。

高河ゆん先生へのインタビューがすごい

書き下ろしの内容は、同人界のレジェンド、高河ゆん先生に同人バブル時代の都市伝説について質問しに行くというもの。

高河ゆん先生は『キャプテン翼』や『魔王伝』などの二次創作の同人作家出身の漫画家で、商業誌での 代表作に『アーシアン』『LOVELESS』などがあります。

質問の内容は、高校生で年収3000万とか、コミケ会場に銀行員が来ていた、黒いゴミ袋に突っ込んでおいた売上金を間違えて捨ててしまった……などの伝説は本当ですか?というもの。

肝心のゆん先生の解答なんですけど、予想をはるかに越えてて、わけが分からなくなりましたね……。

免許を持ってない20歳が車を持っていたとか、同人誌の締め切りを延ばすため印刷作業を覚えるなどなど。突っ込みどころが多過ぎてどうしたらいいんだ。

腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編』はここから購入できます

同人バブル時代をもっと知りたい方に

高河ゆん先生の同人時代が気になる方には、『サイクランド―YUN‐KOUGA REVIEW CATALOGUE』に掲載されている自伝を読んでみるといいと思う。

同人時代は、漫画を多い時には月に500~600ページ近く描いていたというのも凄いけれど、眠気覚ましためにニトログリセリンを飲んでたというのも強烈ですよね……。そんな人がいるとか聞いたことなかったよ。

1991年と古い本ですが、同人バブル期の様子を知りたい方はぜひ。

2015年に発売された『高河ゆん漫画家30周年記念本 30 ――までだと思っていた道は、まだ先に続いている(といいな) (ZERO-SUMコミックス)』にもゆん先生の同人誌時代を語る対談やインタビューが掲載されているようです。
CLAMPの大川先生との対談とか気になるじゃないですか?

ドリフターズ6巻感想。ぶちギレ信長、ある意味マイペース過ぎる豊久が個人的見所

ドリフターズ』6巻読みました。黒王軍との大戦争が始まりましたね!竜に巨人の百鬼夜行!!

「長篠」を模した野戦築城は、何かやってくれそうな予感しかしないですよね!?その後どうなったかは単行本参照で!

ドリフターズ 6 (ヤングキングコミックス)

目次

ドリフターズ対黒王軍(廃棄物軍)の大戦争始まるよー

今回も勢いで描いてそうなのにしっかり練られた台詞回し、土埃と火薬と血の臭いとが迫ってきそうな凄まじい合戦の様子にグッときますね……!

6巻の見所のひとつは明智光秀に対する織田信長の限界を超えたキレっぷりだと思うんですけど、一気に空気を変える豊さんはブレなくてすごいなあって。そのままでいてくれ、お豊よ……。

って思ってたんですけど、「これはおいの役目」と死に向かって突っ走っていくのが怒濤の展開すぎて、ページをめくる手が一瞬止まった。戦のテンポが速い!

攻守が激しく入れ替わる戦場、ギャグとシリアスの心地よい緩急。読んでいて非常に気持ち良い。

続きが激しく気になるんですけど、気になるのが「続刊いつでしょうね問題」ですよね……。 今回、5巻からどのくらいぶりだっけ……?と思い出せないくらい久しぶりな感じでしたが、7巻は……なるべく早く読めるとありがたい……。

そうそう、Easy嬢も小憎らしくてかわいかったね!

購入はこちらから

『さよならミニスカート 』(牧野あおい)一巻感想。先の読めないストーリーに目が離せない

「この連載は、何があろうと、続けていきます」というりぼん編集長による"異例"の声明文から興味をひかれて手に取った『さよならミニスカート』。控えめに言って最高でしたね……!

りぼんコミックス?低年齢向け少女マンガでしょ?なんて思ってたら、見事に裏切られるから。

このまんがに無関心な女子はいても無関係な女子はいない。男女関係なくすべての人に読んでもらいたい作品です。

さよならミニスカート 1 (りぼんマスコットコミックス)

目次

『さよならミニスカート』ってどんな話?

主人公は学校で唯一スラックスを履いて登校する女子生徒の「神山仁那」。

人とは一定距離を保ち、誰も寄せ付けないような彼女ですが、実は半年前までアイドルグループの不動のセンターだったのです。
握手会でファンから刃を向けられたことで心と体に深い傷を負い、アイドルを引退したという過去を持っていたのでした。

『さよならミニスカート』では現代の性問題を中心として、被害者女性の考え方、周囲の反応、様々な女性の考え方などがリアルに表現されています。

今までなかったことにされてきたこと、見てみぬふりをしてきたできごとや感情が可視化されていて、激しく心が揺さぶられました。

連載媒体がりぼんということもあって少女マンガらしくかわいらしい絵柄ですが、リアルな話にも違和感なく溶け込んでいます。

先が気になるシリアスなストーリー

りぼんらしく恋愛要素も絡んできて、「元アイドルとそれを救うヒーローの話なのかな?」と思いきや、途中からサスペンス風味も混ざってくるという。

特に二話のラスト三ページ。ぞわっとした。

握手会で切りつけた犯人はもしかして?
本当に◯◯◯◯はいるの?

二話のラストから話が急展開。一体どういうことなんだ、目が離せない。 仁那の正体に気がついた同級生の反応も気になるところ。早く続きが読みたい……!

単行本に収録されている三話を最後まで読むと、

君にそれ以上近づかなければよかった
そうすれば
君を失わずに済んだのに

という言葉がいろんな意味に取れてモヤモヤしますね!?

まずは試し読みをしてみて!

「少女マンガでしょ」と安易に避ける前に、まずはサンプルから試し読みして欲しい。 例えば、下記のKindleのリンクの遷移先から「無料サンプルを送信」ボタンクリックで読めます。

佐倉色『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を読みました

ここ数日の『けものフレンズ』騒動を眺めていて、「そういえば、KADOKAWAって別件で揉めてたよなー」と思いだし、佐倉色『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を読みました。

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

佐倉色先生とKADOKAWA…というか、少年エース編集が揉めているというのは、ちょうどこの本が出た前後位にTwitter経由で知りました。

一言でまとめると、無茶ぶりと物忘れが激しい編集者に新人漫画家が振り回された実録エッセイ漫画。

怒られるとその場しのぎの嘘でごまかす、何度も同じミスを繰り返す、データ紛失や打ち合わせを忘れるなどのトラブル続きの編集者にストレスが蓄積。そして、とうとう色紙事件で爆発…といった内容です。

色紙を単行本購入者全員プレゼント、それは分かる。でも、キャラクター指定ありでフルカラー手描きは無茶だろ…。じわじわと増えていく色紙依頼数は、最終的に1729枚に。生活にも影響が出るほどの数です。

問題の担当編集者であるボーノ氏は、「確かにこういう困った人っているよな…」というキャラクターでもある。悪気があるんだかないんだか分からないのが恐ろしい。
どんどん心をすり減らして壊れていく佐倉先生を見て、「なんだ…佐倉さん大丈夫そうですね」と言ってしまう場面には背筋がぞわっとした。思ったことをそのまま言ってしまうタイプの人なんだろうか。

客観的に見れば「何でこの仕事受けちゃったのかな」「こんなにがまんしなくてもいいのに」と思わずにはいられない。とはいえ当事者の佐倉先生にしてみれば、判断が難しい部分があったのかも。

今まで知らない業界での仕事で、相談もできる同業者もいない。「この業界はこうなんです」と断言されたら「そういうものなのか~」と、言われるがままになってしまう可能性はある。ブラック企業の構図に似てますね。

社会人経験があったからか、最終的には編集側と交渉することができたのは唯一良かった点だと思う。うっかりすると泣き寝入りになりそうですもん。ところで佐倉先生が編集長に訴えた二点は、実現したのでしょうか?

この佐倉先生の一方的な視点で描かれているので、この『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』は「どこまで本当なんだろうか」と思う部分もある。ニュースサイトの「ねとらぼ」に報じられたというエピソードについては、事実と異なるとねとらぼからの見解も出ています。
漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解 - ねとらぼ

野次馬的気分で買ってみたものの、読みごたえのあるマンガでした。それは文字の量の多さのせいもあるかも、だけど。

圧倒的質量で読者の胃袋をぶん殴る料理漫画『めしにしましょう』❨小林銅蟲❩を読みました

小林銅蟲先生の『めしにしましょう』を読みました。

いやぁ、面白かった。

私の日常の食卓とは異なる世界を見せつつも、日々の食事の可能性を広げてくれる…かも?というさじ加減が読んでいて楽しい。
 
めしにしましょう(1) (イブニングコミックス) 

いや、風呂を調理器具として使うのはハードルが高すぎて無理だな!❨お湯を60度台に保つのも難しい❩

めしにしましょう』のざっくりとしたあらすじ

毎日が修羅場の漫画家・广大脳子❨まだれだいのうこ❩の職場にて、チーフアシスタントを務める"青梅川おめが"が主人公。

彼女が广先生のMP❨やる気❩を回復するためのメシを作る「アシ飯」漫画です。

登場するのは、だいたいスケールが大きすぎる料理です。我々の想像を軽く越えてきます。それは一体どういうことか。

質量です。

暴力的かつ、頭の悪くなりそうな質量で攻めてきます。

要するに、肉が山です。

残念ながらわたしは、肉の山を嬉々として平らげる年代は過ぎてしまった。20代前半に『めしにしましょう』に出会っていたら、これらの料理にチャレンジしていたでしょうか。いや、パーティーでもやらないと片付かないぞ、この量は…。

登場する料理リスト

レシピの掲載はありませんが、概念図はあります。

  • ローストビーフとポテトピュレ
  • スッポンのフルコース
  • 超級カツ丼
  • 肩ロース氏
  • 肉あんかけチャーハン
  • ブイヤベース的なもの
  • 絹かけ丼
  • 冷やし汁なし坦々コシャリ
  • ハモの手まり寿司
  • パタン的なもの

このラインナップから、「ご飯がおいしくて幸せ♡」というありがちな料理漫画ではないことがうかがえるかと思います。

読んでから読む?

この漫画の原案として読むことができるのが、小林銅蟲氏のブログでしょうか。

作者の小林銅蟲先生は、「累 ―かさね―」の松浦だるま先生のチーフアシスタントも務めています。

ブログでは職場にて作成した料理の姿を見ることができますが、漫画のようなカッ飛ばしたメニュー群が襲ってきます。一部では、超級飯テロとしても知られていますね。

映画やドラマでは、「❨原作を❩読んでから見るか、見てから読むか」問題があると思いますが、小林銅蟲氏を知らない方は「読んでから見て」ほしいところ。先にブログを見ちゃうと、漫画を読んだときの驚きがちょっと薄れてしまう気がするので!

残念ながら私は氏のブログの愛読者なので、「オッ出ましたぞ!例のアレ!!」みたいな気持ちで読み進めました。ブログの特徴として、個性的すぎる文章と独特な写真があります。すてきです。たまにわけわからんことになってますが、それが良い。

電子書籍だと、試し読みもできます。

小林銅蟲先生のブログ