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「私ってオヤジっぽい」と自己申告する女性の謎


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「私ってオヤジっぽい」って良く言われるんです。という女性って今でも生息しているのでしょうか。

このような宣言をする女性は苦手だ。穏やかでない言い方をすると、イラァッてしますね!それは何を主張したいの?変わった自分アピールっすかぁ?みたいな。「あ、そーすか…」としか言えないのは根性捻じ曲がってるだけかもしれないけどさ。
だって、そういうこと言うのってたいてい若くてかわいらしい人なんだもの。それなのになんで、あえて、オヤジ宣言!?

という長年の疑問がちょこっとだけ分かったかもしれない。

ここ数日、有川浩の「空飛ぶ広報室」を読んでいる。防衛省航空自衛隊の広報室を舞台にした小説だ。

図書館の棚の間をうろうろとしているときに、「そういえば、ドラマ化された小説だよね」と興味をひかれて手に取ってみました。航空祭などのイベントを見に行く程度には、自衛隊に馴染みがあるというのも理由のひとつだったりもします。

この「空飛ぶ広報室」には、残念な美人と呼ばれる女性が登場します。広報室の紅一点、柚木三佐がその人です。

この人がまた酷い。上司の前で尻を掻く、飲み会では絡みまくるなど、乱雑な振る舞いが目立つ。自称オヤジな女子でもここまでしますかね。でも、訪れたマスコミの人たちが噂するほどの美人だったりするわけで。

もちろん、柚木三佐も埋まれた瞬間からオヤジだったわけではありません。もともとは細やかな気配りのできる、芯が一本通ったような女性だったのです。

「無理してるよなあ」
残念な美人とすでに周りにあきらめられていた柚木のことをそう評したのは鷺坂だ。槙と二人のときにこぼした。
高射隊ですっかり残念な箱に入っているという柚木のことを、本当はそうじゃないと見抜いてくれたのは鷺坂だけだった。

なぜ、彼女は「オヤジ」化してしまったのか。

それは柚木三佐が防衛大卒業後に配属された、高射隊時代にさかのぼります。

部隊にとって初の女性幹部であったために周囲がどう扱っていいか分からず、彼女を「女の子」扱いしてしまったのです。「女なんだから」「女のくせに」と言われ、彼女は「舐められてはいけない」と肩に力が入っていく。当然、周囲との関係は悪化する。とうとうストレス性の円形脱毛症になってしまうほど追い込まれ、自分を守るための殻としての「オヤジっぽさ」を身に付けることとなります。

―ほら、あたしってガサツな女でしょう、オッサンくさくてとても女と思えないでしょう、だからオッサンみたいに無造作に扱って。

男だらけの隊に、女性が幹部としてやってくる。しかも、若くて美人。たしかにこりゃどう対応したものか分からなくなってしまうかもしれない。

でも「女なんだし、これやらなくていいから」みたいにやられちゃうと、柚木三佐としては納得がいかない。どうして特別扱いするのか、同等に扱ってくれないのか。まともに相手してもらえないイライラでいっぱいになったのかもしれない。
「女だからといって舐められたくない」という気持ちは、防衛大時代に槙三佐と二人で剣道の練習をしたときのエピソードにあらわれています。
二年後輩の槙三佐が柚木三佐に連戦してしまい、わざと勝ちを譲ります。柚木三佐にもそれが分かったようで、槙三佐に「手抜きをするな」とピシャリといい放つのです。

「私ってオヤジっぽい」と自己申告する女性たちも、男性だらけの環境で日々戦っているのかもしれない。「オヤジ」という言葉を使うことで、「私だって周りに溶け込みたい。だから、腫れ物にさわるような扱いはやめてください。あなたたちと同等に、雑に扱ってください」と叫んでいるのかもしれない。(全部が全部そうとは言い切れないけど)

まあ…でも、そういうの(自分はオヤジくさいよ!)ってわざわざ自己申告するものじゃないよね!平等に扱ってほしいなら、そう言ったらいいのに、とついつい思ってしまうのです。角を立てないためのオヤジ宣言なのか?単に変わってるアタシアピールしたい人は…うん…まあ…。

追記
言葉足らずだったのでちょっと付け加えました。