振り込め詐欺店舗に潜入!「ギャングース」6巻感想
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モーニングで連載中の「ギャングース(肥谷圭介/原案:鈴木大介)」6巻が出ていたので、早速買ってきました。6巻は瀕死の重傷を負ったサイケとタケオちゃんを病院に残し、カズキが単独で「六龍天」が経営する振り込め詐欺のカンパニーに潜入したところから始まります。
ギャングースの簡単なあらすじ
職なし、学なし、犯罪歴ありの3人組、カズキ・サイケ・タケオちゃんは生きていくために犯罪者だけを"タタく"窃盗団「バックスカーズ」を結成。警察に被害届を出せないような、オレオレ詐欺や危険ドラッグの売り上げを次々に盗んでいく。
サイケの鑑別所時代の知り合いの洋介に、ある日キャバクラで遭遇。彼の裏の稼業を探っていくと、東京近郊のニュータウンで「巨額投資詐欺」が行われていることがわかった。3人は洋介を内偵にスカウト。「巨額投資詐欺」のトップには、どうやら「六龍天」と呼ばれる者が関わっているようだが…。
ストーリー共同制作者は鈴木大介氏。「最貧困女子」や「振り込め犯罪結社」などノンフィクションルポライターです。氏の著作「家のない少年たち」が、ギャングースのストーリーの下敷きになっています。
ギャングース6巻の個人的な感想
5巻からカズキ単独潜入編が始まったのだけど、組織的犯罪カンパニーに研修まであるのには普通に驚きましたね…。下手なブラック企業よりしっかりしてんじゃないの?なんて思ったり。だって、タイムカードまで用意されてるんだよ。初めて見るタイムカードにアガってるカズキが可愛らしいですね…!
「8時出勤っていったら7時半に来るんだよ!」とグループ長の加藤が新人をぶん殴ってますが、表の職場でもそういうところアルヨネー…。カンパニーでの「仕事」についてコミカルに描かれているけれど、それはマンガだからであって、実際の現場はかなりピリピリとした空気なんだろうな。
犯罪や闇社会を描いたマンガって、どんよりと暗いイメージがあります。例えば闇金ウシジマくんを読んでると、ズーンと沈んだ気持ちになっちゃう。人が救われない話ばかりだからというのもあるけれど、「なんでコレ読んじゃったんだ…」と思わず後悔してしまうほど。(でも怖いもの見たさで読んじゃうんだけど)
「ギャングース」も同じく裏稼業を描いた作品だけど、コメディタッチで描かれているため明るい気持ちで読み終えることができます。主人公のカズキは相当ひどい生い立ちなんですけどね。母は鬱病を患っていて働けない。役所に生活保護の申請に行っても門前払い。ゆえに毎日の食事の心配をするほどの貧困に陥っている。その一方で母の彼氏からの虐待があり…と。
サイケやタケオちゃんも同じ。登場人物は貧困や虐待の中で育てられたというのに、前を向いて生きている。主人公のカズキに至っては、本気で「狂った大人を生み出した狂った国」を変えようとすら考えている。
バックスカーズがやってることは間違いなく犯罪なんだけど、読んでいて痛快な気持ちにすらなります。特に犯罪結社の事務所の金庫を頂いたシーンや手に入れた大量の危険ドラッグをぶちまけて捨てるシーンは読んでいてアガりました。「もう底辺にいるんだから、これ以下に落ちることはない!生きるためならなんだってやる!!」というパワフルさを画面から感じられますね。
ギャングースは「マンガ」だけど、こういう生活をしている少年たちが実際にいるんですよね。単行本の冒頭にも「実話を基にしたフィクションです。しかし犯罪の手口は実在しますので、どうか防犯に役立ててください。」とあります。
ぬくぬくと毎日を過ごしている自分としては信じられないような世界なのだけど、現実だと考えると…うーん。犯罪は犯罪なんだけど、何かどうにかならないものか…。もどかしい。
ギャングースで楽しみなのが、鈴木大介さんによるページの枠外の「すずきメモ」やコラムの「すずきレポート」。犯罪のトレンドやキーワードについて丁寧に解説してあり、かなり勉強になります。この知識が必要になる日がこないといいんだけど。
そうそう、6巻の表紙はチャイマのヤンくんですね!イケメン!!でも、原案の「家のない少年たち」のヤン君は…後に相当恰幅がよくなってしまうようで…。
もう一人の残念なイケメン(女の趣味が)のサイケ氏も無事復活したのには安心しました。いきなり大暴れしてますが…!潜入しているカズキには連絡は取れない、タケオちゃんの意識は戻らない。家族よりも家族らしい大切な仲間だもん、こうでも発散しないとやりきれないよね。がんばれサイケ!!