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好きなものを好きなように飲む!食べる!!9つの野武士流グルメエピソード /『野武士のグルメ』感想


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定年を過ぎた枯れた風味のおっさんが、一人で飯を食べ、酒を飲む。ただそれだけなのに妙におかしみのある漫画、『野武士のグルメ』二巻が出てたので買ってきたよ!

原作者は『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』でおなじみの久住昌之先生。作画担当の土山しげる先生は、『食キング』、『喰いしん坊!』などのグルメ漫画を手がけています。食を扱う作品のプロがタッグを組んでいるのだから、恐ろしいほど食欲に訴えかける作品に仕上がっています。

漫画版 野武士のグルメ 2nd

『野武士のグルメ』のざっくりとしたあらすじ

『野武士のグルメ』の主人公は60歳の男性、香住武。35年間勤めた会社を定年退職し、時間とお金を自由に使えるようになった彼は、これからは食事にこだわって生きていこうと決意する。

雑誌やテレビの情報に踊らされず、自分の経験と感性を信じて店を選択。そして、好きなものを好きなように食べるのだ!そのときは素朴で粗野な武士のように、食と向き合いたい。周りからの目なんて気にするもんか!!*1

『野武士のグルメ』2巻

『野武士のグルメ』2巻に収録されているのは、以下の9つのエピソード。

  • ココロのコロッケ
  • 野武士のライスカレー
  • さすらいのイタリアンランチ
  • 秋の新サンマ塩焼き
  • 銀座の蕎麦屋で昼酒
  • 寝覚めの家飲み
  • ベンチの握り飯
  • 映画の後のホットケーキ
  • 午後の牛丼屋でちょい飲み(単行本特別描き下ろし)

彼が訪れるのは、どの街にも一軒はありそうな喫茶店や居酒屋、蕎麦屋などである。心の思うままに任せて、店を選択する。イタリアンの豪華ランチに乗り込んでいったと思ったら、精肉店で駄菓子みたいなコロッケの買い食いもする。野武士のグルメは自由きままなのだ。

個人的お気に入りエピソード

個人的にグっときたのが、「午後の牛丼屋でちょい飲み」のエピソード。「牛丼屋でちょい飲み大流行!」という新聞記事を目にした香住武が、「牛丼を食べないで終わる牛丼屋、かあ」とウキウキしながら吉野家へと向かうのだ。

吉野家松屋すき屋なんかの牛丼チェーンというのは、「時間がないけれど、お腹は満たしたいときに行く場所」という先入観がありました。食事の提供も恐ろしく早いから、ササっと食べて出ることができるしね。

でも、あえてご飯モノは食べない。
注文するのは牛皿の並と玉子。そして冷酒、のみ!

あくまで「食事処」として見ていた、牛丼チェーンの法則が崩れる。割烹着を着て微笑んでいる素朴なおっかさんに、バーのママさんのような色気ある一面を発見してしまったような気持ちだ。

一瞬で目の前に現れた牛皿へ七味を鬼のようにかけ、脇に紅しょうがをたっぷりと添える。溶き卵で牛皿を食べれば、まるですき焼きで飲んでいる気分だ。「飯がないから酒にも合うよ」と香住氏ニンマリ。吉野屋は「野武士の隠れ家」にぴったりだ。

牛皿並盛り330円。玉子60円。冷酒340円。冷酒はお代わりしたから、合計で1,070円。千円ちょっとでサク飲みができるのだから、牛丼チェーンというのはなんて恐ろしい場所なんだろう。

「仕事帰りに一人でちょろっと飲んで帰るか」というときの選択肢として、牛丼チェーン、アリかもしれません。飯をかっ食らう若者で埋まっているカウンターが、牛皿でしみじみと飲むオッサンたちに占領される日も来るのでしょうか。

香住武vs.井之頭五郎

男の一人飯というと、どうしても『孤独のグルメ』と比べたくなってしまう。『孤独のグルメ』の主人公ゴローちゃんこと井之頭五郎はまだ若く、特に漫画版では尖っている部分もちらほらと顔を出していた。そこへ比べると香住氏の安定感よ。初老の男性ならではの穏やかな空気で、安心してページを進めることができます。
ゴローちゃんはお酒が飲めないけれど、香住氏はとにかく酒と食事をセットにしたがるという違いもありますね。食べる料理も、香住氏のほうがより庶民的です。

最後に

胃袋をジワジワと刺激する『野武士のグルメ』を読むなら、食事を済ませてからな!

漫画版 野武士のグルメ 2nd

漫画版 野武士のグルメ 2nd

 
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漫画版 野武士のグルメ カラー版 1st 01
 

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*1:とか言いつつも、ちょっと照れているような場面があるのも香住氏の魅力の一部かな